へその緒が取れて行方不明になってしまったので、娘への手紙をへその緒の代わりに桐の箱に入れておくことにした父親の手紙


Pop A Whealy
Pop A Whealy / emilio labrador

かなさんへ

こんにちは。元気ですか?友達はできましたか?学校は楽しいですか?もう結婚していますか?子供はできましたか?

実はあなたに謝らなければならないことがあります。あなたが生まれて今日で2週間、毎日、お母さんと子育てに悪戦苦闘しています。先日、あなたのへその緒が取れていることに気付いたのですが、大事な取れたへその緒が見当たりません。いろいろ探してみたものの、どうやらあなたをお風呂に入れているときに取れてしまったのに気付かず、流してしまったようです。本当に申し訳ない。なので、あなたにお詫びの手紙をへその緒代わりにこの桐の箱に入れておくことにしました。

あなたが、今この手紙を読んでいるということは、大事な人生の節目にいるのではないでしょうか?あなたの決断の助けになればと思うので、少しだけお父さんの話をさせてください。

あなたがお母さんのお腹の中にいた頃、お父さんは無職でした。以前はバリバリ働いていたのですが、大きな病気をしてしまい働けなくなってしまったのです。その時は自分の不幸を呪ったり、他人のせいにしたりとひどいものでした。あなたを育てていく自信もなく、産み育てることをあきらめようと考えた時期もありました。でも、おじいちゃんやおばあちゃん、周りのやさしい人達に支えられ、あなたが無事に産まれてきたときはうれしくてお母さんと泣いて喜びました。それから、毎日、いろんな成長を見せてくれるあなたにたくさんの喜びをもらっています。

お父さんがあなたに伝えたいことはただひとつ、「起こったことに意味はない」ということです。

あたなはこれから、たくさんのうれしいこと、悲しいこと、楽しいことや、つらいことを経験すると思います。うれしいことや楽しいことはそのまま全身で受け止め、いっぱい感動してください。人生の質はその人が感動した量に比例すると誰かが言ってた気がします。困ったのは悲しいことやつらいことが起こったときです。

残念ですが、人生には自分ではどうすることもできない悲しみやつらいことが起こることがあります。ただ、起こったこと自体に意味はありません。あなたがそのことに対して、自分の感情を決めるまでは。あなたが悲しいと思おうと決めた時、そのことは悲しいことになり、つらいと思おうと決めた時、つらいことになります。つまり、人生で起きるすべてのことを楽しいと決めたり、悲しいと決めたりするのはあなた自身なのです。あなたの感情はあなたにしか決めることはできません。楽しいとあなたが決めれば、誰から見ても悲しい出来事でも楽しい出来事に変えることができるのです。

悲しくなくてもつらくなくても、お金がなくて不安な気持ちに襲われることもあるかもしれません。そんなときは、お父さんの実家の庭にある松の木の根元を掘ってください。昔、お父さんが空き巣に入って盗んできた大量の金の延べ棒を埋めてあります。

ほら、今少し不安が和らぎませんでしたか?感情は案外カンタンに変えることができます。実際は金の延べ棒ではなく、お父さんが昔集めていたビックリマンシールというおやつについてきたシールが埋めてあります。それをネットオークションで売れば、少しはお金になると思います。

そんなわけで、これからもし悲しくてつらいことが起こって、不安に襲われたとしても、楽しいことに変えてしまってください。お父さんは、あなたのそばにいれなくても、大人になってこの手紙を読んでいるあなたを想像して、うれしくて楽しい気分でこの手紙を書いています。

かなさん、お父さんは今もこれからもあなたのことを愛しています。あなたの身に起こるすべてのことに感動して幸せな人生を送ってください。でわでわ。

父より


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